技術情報

住宅リフォーム提案事例 その1
パーキンソン病による体幹機能障害  72歳 女性
●家族構成及び介助の状況
 本人と夫の2人暮らし 車で3分のところに娘が住んでいる
 週2回デイサービスを利用
●身体状況
 ・診断 パーキンソン病、左変形性股関節症
 ・障害 手の震え、言語不明瞭、すくみ足、摺足歩行
 ・経緯 パーキンソン発病後、現在入院中
     自宅にて転倒し、腰の圧迫骨折で入院して以来、転倒しやすく左足の付け根に痛み発生。
     人口関節の手術を受け、現在は杖歩行可能を目指して病院にてリハビリ中
●日常生活能力
 ・起居 自立 ・食事 自立 ・排泄 自立 ・入浴 一部介助 ・移動 自立 ・洗面 自立
●介護状況
 ・介護保険 利用している ・主な介護者 夫、娘、デイサービス
 ・介助 車いす介助、歩行器、T字杖
●住まいの状況
 ・築21年木造2階建て 持ち家 ・仕事 なし
 ・住宅改修の経験 介護保険を利用し、手すりの取付け、
  敷居段差の解消の改修済
●提案の基本的な考え方
 引き続き在宅での生活を快適に、より安全に過ごすためにリフォームを行います。
【1】 パーキンソン病に対しては、将来動けなくなることを考慮した場合、リフォーム範囲や内容が大掛かりになる
ため、現在の障害と少し先のことを考えた計画である
【2】 現在、左変形性股関節症に対しては、痛みがなく、関節の動きも問題がなくなったため、考慮する必要はない
    と思われる
【3】 将来、パーキンソン病と加齢により屋内で車いすでの生活を考える必要があるが、今回の改修により今後しば
らくは生活困難の解消が出来ると思われる
●提案のポイント
【1】冬の寒さと歩行等機能レベルを考慮してトイレへの動線を短くする
  ・居室東側の物入を撤去し、居住室からトイレと洗面所への通路を作る
  ・トイレ東壁を延長したところに洗面所とも出入り口を作る (カーテン類などの簡単なものを考えている)
  ・居室とトイレの床高を同じにする
【2】段差をまたぐときの安全性を高める
  ・浴室の出入り口(浴室側)に縦てすりを取り付ける
【3】 居室・台所・食事空間の移動が安全に出来るようにする
  ・廊下と食事室間の戸を引き戸にする
  ・廊下を食事室間(食事室側)に手すりを取り付ける

※各段差のまたぎ部分が、将来的歩行能力低下に 伴い、危険が予測されるが、現在慣れていると
現状平面図 いうことから改修はしない